教育方針・カリキュラム
Educational Policy and Curriculum

教育方針

教育課程の編成方針

 本専攻の特徴のひとつは、セメスター毎に学生が日本、台湾、フランスの順に移動して各大学の授業科目及び研究指導を受けることにあります。すなわち、本学独自の強みに加えてボルドー大学及び国立台湾大学の強みを組み込み、お互いが相補的に強化された教育課程と教育体制を構築しています。各大学は滞在中の学生宿舎を準備しており、学内での学修・生活環境も担保されています。 45単位以上の単位修得とともに、修士論文の替わりに特定課題研究の実施し、2年間の学習成果をまとめるとともに研究やビジネスのプロポーザルを執筆および口頭発表してもらいます。加えて、本専攻独自の学修成果評価システム(GLidD)を設け、3大学の指導教員が学生の到達度を確認しながら学修を支援します。第4セメスターにおいて、学生は修士論文に代わる特定課題研究を完成させ、3大学合同による最終審査に合格した学生に対し、1枚の学位記に3学長が連名して「修士(食料健康科学)」の学位を授与します。
 本専攻を修了した学生は、日本で実施する「食料健康科学概論」、日本及び台湾で実施する「食料健康科学演習」、台湾及びフランスで実施する「フィールドと実験室の融合」、さらには3か国で開設する「企業インターンシップ」を通じて養われた「食と健康」の知識、実践力、交渉力、実践英語力を武器に、国内外の製薬及び食品企業の安全性評価部門を始めとする幅広い職種での活躍が期待されます。

 本専攻は、食資源や健康食品の生体への効用・安全性にかかわる専門力を養うために、医科学及び衛生学・公衆衛生学の分野を中心に教育研究を行います。また、本専攻の目的を達成する上では、食料の生産・加工等に関する専門知識も重要であることから、農学分野の関連領域と連携して教育課程を編成しています。

人材養成目的

 人類が地球規模で直面する健康の維持・増進や食料の安全供給等の課題に対して、「医食同源」の理念に基づき、食料が健康に及ぼす影響を科学的に理解し、グローバル社会のニーズと研究開発を橋渡しすることのできる専門力と実践力を備えた国際的な高度専門職業人を養成します。
 この人材養成目的を達成するために学生が修得する知識・能力を次のとおり設定します。これらの能力の修得度は、学修成果評価システム(GLidD)によって評価します。

汎用的知識・能力

リテラシー
  • 専門性に裏付けされた分野横断的な思考力
  • 専門的知識・能力を活用する語学力
コーディネーション力
  • 海外フィールドにおける目利き力・企画力
  • 多国籍間における対話・交渉力
  • 異分野、異業種間でのマネジメント能力
実践力
  • アイデアを具体化・実行する実践力
  • プレゼンテーションや自己アピールなど表現力

専門的知識・能力

健康と食資源を結びつける力
  • 生物資源の機能性、医学的利用に関する知識
  • 食品由来の疾患や生理的障害に関する知識
  • 食資源や医療にかかわる政策に関する知識
健康安全保障問題を捉える力
  • 食資源や医薬品を含めた化学物質の安全性を含む社会医学に関する知識
食料安全保障問題を捉える力
  • 生物資源の評価開発(安全性を含む)と持続的食料生産体系の利用に関する知識

プログラム概要

 本プログラムでは、授業は全て英語で行われ、農医科学(食料安全保障、健康安全保障、農学と医学の橋渡し)に関する専門知識を学修するとともに、各国でのフィールドワーク、企業インターンシップ、アントレプレナー(起業家精神)学習などを通して、農医科学的リテラシー、コーディネーション力および実践力を涵養します。健康維持増進、安定的食料供給といった課題に対して、グローバル社会のニーズと研究開発を橋渡しすることのできる国際的な高度職業人(グローバルイノベーション人材)になるための基礎を育みます。
 本プログラム修了後には、国際的に事業展開している総合商社・流通会社、食品会社、製薬会 社、種苗会社、シンクタンク・コンサルタントなどの会社において、新しい指針を提言できるような実務型の職業人(グローバルイノベーション人材)へ自ら道を切り開いていくものと信じております。そして、研究開発やマーケティングなどの現場におけるプロジェクトをコーディネート・実践し、得られた成果を社会に還元する場面で活躍することを期待しています。

国際連携食料健康科学専攻の概要

国際連携食料健康科学専攻の概要

国際連携食料健康科学専攻終了までのスケジュール

国際連携食料健康科学専攻終了までのスケジュール

学位審査

学位授与の方針

所定の履修方法・修了要件に基づく単位の修得ならびに特定課題研究の審査および最終試験により、次の学修成果を修得したと認められた者に学位を授与する。

  1. 地球規模での食料の安全性評価と健康維持に関する基礎的な知識と技術を修得している。
  2. 地球規模での食料の安全性評価と健康維持にかかわる現実の問題について、問題設定から専門的手法による解決までの過程を理解し、問題解決のための具体的な手段を考案・開発することができる。
  3. 国際的視野と異文化適応力を携えて人類・社会への奉仕を実践する実行力を有する。
  4. 国際的な活動の場において十分な意思疎通ができ、かつリーダーシップをとることができる。
  5. 学際的な教養と高度な実践的研究によってイノベーションを生み出す創造力を有する。
  6. 専門分野に留まらない分野横断的な考え方を身につけている。

特定課題研究

特定課題研究は、2年間の学修成果をもとにした、食と健康にかかわる研究成果または社会活動成果を含むものとする。その発表、口頭試問は、英語で行う。
特定課題研究の一部、または全部は、非公開とすることができる。

審査体制

3大学の担当教員から構成する審査委員が、学位授与の方針に従って合否を判定し、3大学の承認をもって合格とする。
学位授与大学は、プログラムにおける学位の認定及び学位記の発行等を行うため、必要な学内規則の整備を行うものとする。

学修成果評価システム(GLidD)

 GLidD(Growth & Learning identification powered by Instructional Design)は、ルーブリックを活用したウェブベースの学修成果評価システムです。同システムでは、本専攻における修得予定の知識・能力に即して設定された一連の設問に対して学生が回答し、その回答が適切か否かをレビュアーが判断します。適切と判断された場合、当該設問について合格となります。一連のプロセスの中で学生が自身の学修経験を自己省察できることから、本システムは学修到達度の評価のみならず、学生の学修を支援する役割も持ちます。また、特定課題研究やインターンシップ、キャリア支援にも関連付けて本システムを運用します。本システムにおける評価は、第1セメスター終了時、第3セメスター終了時、第4セメスター終了前の3段階に分けて実施され、各段階における設問は主に次の観点から設定されます。

  • 第1セメスター終了時:基本的知識・能力の確認、特定課題研究の動機付け、インターンシップの動機付け、キャリア形成への動機付け
  • 第3セメスター終了時:3大学を通じた学修成果の確認、特定課題研究の内容の積み上げ、インターンシップ先の決定支援
  • 第4セメスター終了時:2年間の学修成果の定着、修了に必要な知識・能力の確認、特定課題研究報告書の完成支援

 このように本システムを運用しながら学生指導を行うことで、学生の学修到達度を適切に評価するとともに、学生が入学から修了までの学修を系統的・効果的に進められるよう支援します。詳しくはこちらを参照ください。

学位論文の提出について