メッセージ | Message

グローバルイノベーション学位プログラムコーディネーター 筑波大学医学医療系 熊谷 嘉人|YOSHITO KUMAGAI

はじめに

こんにちは International Joint Degree Master’s Program in Agro-Biomedical Science in Food and Health (GIP-TRIAD) 国際連携食料健康科学専攻専攻コーディネーターを担当している、筑波大学医学医療系の熊谷です。
現在、国内外を通じて、様々な地球規模の課題を解決できる人材が要請されています。

とりわけ、人類の生存課題である「食料」と「健康」は、「医食同源」に象徴されるような不可分な課題であり、「未病社会」の実現への鍵と言えるでしょう。

食料に関わる健康障害や生活習慣病、食料の確保問題、さらに医療費削減など社会と密接にかかわる様々な課題がある中、農学と医科学の融合、そして、その成果を社会に還元できることが求められています。

そこで、筑波大学では、国立大学の機能強化事業の一環として、農学と医科学を融合した、国際的かつ分野横断的な大学院共同学位プログラムを開設し、食料と健康という地球規模課題を解決できる高度職業人を育成いたします。

さて、本学は、これまで世界50か国以上の大学と交流協定を締結してきました。今回はその中でも、フランスのボルドー大学および台湾の国立台湾大学と連携して共同学位プログラムを開設します。

筑波大学の分野横断型教育に適した組織体制と、つくばサイエンスシティ—を活かした産官学民の協働、ボルドーの欧州型食料生産体系と健康維持に向けた食資源の高度利用、台湾における亜熱帯・熱帯環境と中医学の伝統など、各国の特徴を生かし、学生達は食料および健康の安全保障問題を捉える力、食資源と健康を結びつける力を身に着けていきます。

筑波大学、ボルドー大学および国立台湾大学という、3カ国の3つの大学が連携して国際共同学位プログラムを運営するということで、我々は本プログラムをGIP-TRIADと名付けました。

国際通用性のある、質の保証を十分考慮した、国際共同学位プログラムを目指していますので、どうぞよろしくお願いします。

本プログラムの概略説明

さて、GIP-TRIADの概要を説明いたします。
GIP-TRIADでは、食料と健康という地球規模課題について、研究開発と社会ニーズを橋渡しすることのできる高度職業人の育成を目指しています。

そのために、それぞれの国で、講義のみならず、実践型科目の履修を繰り返すことで、農医科学的リテラシー、国際的なコーディネーション力、そして、アイデアを具体化し、実行する実践力を身に着けていきます。

まずは、1年次秋学期に入学する学生は、何れも筑波大学に集まり、同じ宿舎で生活を共にしながら、本プログラムの理念および学修プロセスを理解します。
学生達はグローバルな農医科学的な知識を学修し、ラボインターンシップを通じて、食料と健康に関する研究方法論を学びます。
また、アントレプレナーシップを履修して起業家精神を涵養することになります。

つぎに、1年次春学期になると、学生達は一緒に国立台湾大学に移動します。
そこでは、グローバルな視野と経験、食料と健康に関する方法論を習得するために、「フィールドと実験室活動の融合」というGIP-TRIAD独自の科目を履修します。
また、アジアの企業事情を理解する目的で、企業インターンシップを実施します。

さらに、2年次秋学期には、学生達は一緒にボルドー大学に移動することになります。
フランス特有のフィールドを利用して、さらに食料と健康に関する方法論を習得することになります。
同時に、欧州の企業事情を理解する目的で、企業インターンシップも実施します。

2年次春学期になると、筑波大学の学生であれば、日本や台湾での企業インターンシップも可能です。もし、フランスでの就職を希望する場合は、そのまま現地での企業インターンシップを継続することになるでしょう。

GIP-TRIADの学生達が、2年間の日本、アジア、ヨーロッパでの生活・学修を介して、農学と医科学の知識・技術を理解し、未病社会の実現をマネージメントできる人材に成長することを期待しています。