国際連携食料健康科学専攻
学びの声:修了生インタビュー

(本稿は2020年12月5日(土)に開催されたWEB専攻説明会でのインタビュー内容を基にして作成された記事です)


司 会

新開泰弘(GIP-TRIAD広報委員長)

回答者

内田海凪(2019年度修了生)

回答者

黒澤丈朗(2020年度修了生)


新 開
今日は修了生のお2人にも参加して頂きましたので、インタビューということでお話を聞いていきたいと思います。
まずは簡単な自己紹介をよろしくお願いします。

内 田
おはようございます。GIP 1期生の内田といいます。
今は飲料メーカー(伊藤園)の品質管理部で働いています。今日はよろしくお願いします。

黒 澤
皆様おはようございます。2期生の黒澤丈朗と申します。
現在は経営コンサルティングファームの子会社であるバイアウトファンドでリサーチを担当しています。

新 開
まず初めにこのプログラムに参加した動機やきっかけについて、内田さん、黒澤君、お話を聞かせていただければと思います。また、本プログラムの入学が海外のスタンダードに合わせた9月となっています。入学するまでの半年間(注:特別学修生として筑波大学での身分は保障される)はどのように過ごされていたんですか?

内 田
私がプログラムに参加したのは、大学4年生(筑波大学医療科学類出身)の時にたまたま開催されていたGIPの説明会に参加したことがきかっけです。授業の内容と、三か国での生活を体験できるというところに興味を惹かれ、参加を決めました。私が在学中はGIPがまだ設立されていなかったので、9月に入学するまでは筑波大学のフロンティア医科学専攻で大学院生をしていました。

黒 澤
私がGIPのプログラムに参加した動機は、元々医療系のことを学んでいたのですが(筑波大学医療科学類出身)並行してビジネスについても学びたかったからです。ビジネスを学びたいと思ったきっかけを思い出してみると、個人的にとても驚いた出来事がありまして。医療系の学生とか生物の学生だと、何となく卒業後は大学院に行って製薬企業に入り、出世して沢山お金稼ぎたいというのがあると思うんです。そこで、大学3年生か2年生の時くらいにファイザーの経営陣にはどんな人がいるのだろうと調べてみたら、マッキンゼーというよく分からない会社出身の人がいるんです。あれ?叩き上げじゃない人がいる?経営コンサルティングファーム??もしかしたら、普通に研究してそのまま成果を上げても出世できないかもしれない。と思ったのがビジネスへの感度が高くなったきっかけです。入学するまでの半年間は、自分はサーフィンがすごく好きなのでひたすらサーフィンをしてました。入学してからはGIPのテーマとして、サーフィンと食と健康が結びついたものに2年間取り組みました。

新 開
では、お二人にお聞きしたいのですが、このプログラムに参加してよかったと思うこと、楽しかったこと、色々あると思うんですけどお聞かせください。

内 田
私がGIPに参加してよかったと思うことは、海外に行くことに対するハードルが下がったことです。GIPに参加する前は海外で生活することはもちろん、海外の人と話すこともハードルが高いことだったんですが、GIPでの経験のおかげで、関われる人や行動範囲が広がったと感じました。

黒 澤
私が参加して良かったと思ったのは、言語と科目の壁がこのプログラムにはないことですね。具体的には、言語の壁が無いっていうのは英語で授業が受けることができて、加えて台湾人とフランス人と彼らの言語を習得するためのコミュニケーションを取ることができること。そして科目に関しては、今まで学んできた生物や医療の延長線上の科目だけではなくて、ビジネスなど様々な科目を学ぶリソースが整っていることです。楽しかったことは、色んな方と交流できたことですね。留学生だけじゃなくて現地の社会人だったり、各国で幅広い人と交流できたのは人生の財産になったと思っております。

新 開
ありがとうございます。次は、参加して苦労したこともあると思うのですが、そのあたりのことについてもお聞かせください。

内 田
はい、私が一番苦労したことはやはり言語です。参加するまでは全然英語を話す機会がなく、GIPに入って初めて英語を話すという感じだったので、最初は他の国の学生が言っていることも聞き取れず、授業やグループワークでも発言できず、結構苦労しました。また、GIPでは授業でプレゼンテーションをする機会が多いんですが、英語でのプレゼンテーションはもちろん、日本語でもあまりプレゼンテーションの経験がなかったので、そこも苦労しました。

黒 澤
私が特に苦労したと思うのは、自主性に伴う自己責任かな。僕だけじゃなくて、同じ2期生の台湾人やフランス人も同様に苦労していましたね。具体的には一般的な大学院とは違って、GIPでは自分がやりたいと思うことを軸に研究を進める。とても自主性を尊重して頂けるプログラムなんです。ただその分責任が伴う。失敗した時も自分で責任取って、じゃあ次どうしなきゃいけないのかを考える。そういった自主性に伴う自己責任っていうのが苦労した点だったと思います。

新 開
台湾で過ごした学生生活で何か印象に残っていることはありますか?学内でも学外での経験でもかまいません。

内 田
台湾では大学内での座学だけではなく、様々な企業を訪問したり、起業家の人の話を聞いたりできたことが印象に残っています。学外では、台湾人のクラスメートの地元を案内してもらったり、実家に招いてもらったりしたのが良い思い出です。

黒 澤
正直に答えると波がめちゃくちゃ良かったです(笑)。サーフィンと食と健康が結びついたことがテーマである以上、もちろん台湾には自分のボードを持って行って現地でサーフィンしてサーファーと交流しました。そこで気づいたことが研究にも役に立ちましたし、企業の人と会う時のアイスブレイクの鉄板ネタにもなりました。一見不真面目な行為に聞こえますが、本気でやりたいことに対してのアプローチが現地でのサーフィンということで先生方も応援してくれたのだと思います。

新 開
なるほど。それでは、フランスで過ごした学生生活で特に印象に残っていることはありますか?こちらも学内でも学外での経験でもかまいません。

内 田
フランスで特に印象に残っていることは、フランス国内はもちろん、イタリア、ドイツ、ポルトガル、モロッコなど多くの地域に旅行に行けたことです。様々な景色を見たり、文化に触れたり、とても貴重な体験でした。

黒 澤
食と芸術です。それらを通して異文化を深く理解するのは素晴らしい経験でした。台湾は日本の統治下であった歴史もあり、かなり日本と似た文化でしたがヨーロッパは全く違いました。食と芸術を皮切りに各国の人間の価値観や関わり方を学んだことで、一回り大きな人間になれたのかなと思います。

新 開
ありがとうございます。お2人とも海外で充実した時間を過ごせたようですね。実は自分はまだヨーロッパには行ったことがないので羨ましくもあります。では、お2人の現在のお仕事の内容と、GIPでの経験が生かせているなと思うことについてはいかがでしょうか?

内 田
はい、私の現在の仕事内容は、飲料製品の品質管理です。品質管理の仕事は大きく分けると2つあって、1つは品質の悪い製品を作らないこと、もう1つは品質の悪い製品が流出するのを防ぐことです。各地にある飲料工場とのやりとり、官能検査など様々な業務を通して品質の担保・改善に取り組んでいます。自分でGIPでの経験が直接生かせているなと感じることは今のところありませんが、GIPでの留学経験のおかげで海外に興味があることは上司にも知ってもらえているので、他の人よりは海外勤務希望が通りやすいのかもしれません。将来海外勤務を希望するなら、GIPでの留学経験はプラスになると思います。また、上司から外国籍の社員とのコミュニケーションが上手いと言われたことがあります。そういった場面でもGIPでの経験が生きているのかもしれません。

黒 澤
現在の仕事としては、2021年1月に設立するプライベートエクイティファンドにおける投資案件のリサーチ業務を行っております。私は2期生で、この前の8月に卒業が決定しましたので、2021年4月から内定をいただいている経営コンサルティングファームの関連会社に出向しているような形です。ではGIPでの経験が生かせていると思うことについて。まず身についた汎用性の高いスキルは、未知の分野や未知の科目に対して勉強するノウハウや体力ですね。特に大学院2年間の間で会社を立ち上げようとした過程で学んだファイナンスだったり、会計全般を一度学んでいることが現在の企業分析等に非常に役に立っているなと思います。なので、学生さんには「これは自分のキャリアに関係ないから」と言わずに色々なものを勉強して欲しいです。

新 開
はい、ありがとうございました。そうしたらせっかくの機会なので、参加者の学生さんの方からお二人の修了生に聞いてみたいことなど質問したいことがありましたら、この機会にどうでしょうか。

参加学生
在学生からの質問なのですが、英語に慣れるのにはどれくらい時間がかかりましたか?

内 田
日本でのセメスターが終わるくらいには、台湾人やフランス人のクラスメートの言っていることは分かるくらいにはなりました。私の場合は、授業の中でというよりは授業以外の場面でクラスメートと接する機会を多く持つことで英語に慣れていきました。

黒 澤
お酒を飲んで、ガンガンみんなと話して慣れるのが一番早いかと思います。お酒飲むとすごく話しやすくなるし、何より楽しいですよね。授業でディスカッションしている時は、「何言ってるか分からないけど、この情報聞き逃しちゃったら次の議論進まなくなっちゃうかもしれない」とか変なこと色々考えてしまう。ところが、飲んでいるときは分からなくても話は進んでいきます(笑)。こういうノリでやっていけばすぐ慣れるんじゃないですかね。

参加学生
在学生なんですけれども質問してもよろしいでしょうか。今やっているお仕事ってGIPで在籍している間に最終目標にしようと思っていた仕事の踏み台と考えていいんでしょうか。様々なステップをこれから踏むと思うんですけど、その初めの一歩と考えてよろしいでしょうか?
将来の計画を色々立てると思うんですけど、自分の場合だと研究施設で働きたいと思っているのですが、もしからしたら博士に行くかもしれないし、他の研究施設で働いてまたさらに大きな研究施設に移って具体的な施策を考える施設に行く道もあるのかなとも思ったのですけれども、例えば黒澤さんはコンサルティングとかを経験してから、起業するとおっしゃったじゃないですか。そうなると今やられている仕事とかは将来辞めるという感じなんですか?

黒 澤
就職活動中は将来やりたいことに対する最初のステップとして考えていましたね。一般的に多いと思うんです。起業したいからコンサル入って勉強するパターン。沢山いらっしゃいますよね。コンサル出身の起業家って。ただ、特にファンドの業務に取り組んだ際に改めて自分は社長になりたいのか。それとも会社を経営したいのかを自分に問いかけました。会社を経営したい、そして何か新しい物を生み出したいという場合、自ら起業する必要はないんです。要は目標に対して色んな道が見えてきたから、現在はそれらの道を模索しています。最終的に自分が到達したいゴールは変わっていないですけどね。

新 開
その他にはどうでしょうか。

参加学生
黒澤さんに質問なんですけど、経営っていうお話に興味持ったんですが、製薬っていうところに経営としてアプローチしているということですか?最終的に社長になりたいというアプローチに対しての話です。

黒 澤
ごめんなさいちょっと混ざっちゃいましたね。ビジネスに興味を持ったきっかけとして先程話した製薬会社の経営陣に関しては、あくまで事例であって私がそうなりたいと思うゴールではないです。こういう事例があるということは、このまま大学院で研究するだけじゃないのでは?と思ったきっかけですね。元々大学院の時は、サーファー向けの日焼け回復飲料を作る会社の社長になりたいと思っていたので、それが経営コンサルティングファームに入って最終的に到達したいステップでした。今改めて考えると、起業だけでなくて色んな手段がありそうだなということで、色々なアプローチを模索しているというのが答えになります。

参加学生
ありがとうございます。

新 開
その他に何か質問はありますか。

参加学生
質問してもいいですか。就職活動をしている時にインタビューでどういう専攻を修了してというどういう学修をしましたっていう説明すると思うんですが、相手側の企業からの反応はどういう感じでしたか?GIPは新しいプログラムだと思いますが、このプログラムについてまだ知らない方が企業の方も多いと思うので、反応はどういうものでしたか?GIPを修了して就職にプラスになったことはありますか?

内 田
そうですね、面接の短い時間の中でGIPの説明をするのはとても難しく、しっかりと伝わっているかは分からなかったんですが、商社の面接を受けた時や、海外と多く関わる機会がある企業の面接を受けた時には、結構受けが良かったように思います。

黒 澤
内田さんのおっしゃる通り、伝えるのが難しいです。半年くらい就職活動をしていて思ったのは、自分の伝え方次第でGIPのブランド力を上げることが出来るなと思いました。伝え方が下手くそな時は、「交換留学やってきたんだろうな」くらいのトーンで見られてしまうこともありました。きちんとその価値を説明できるようになった時には「この人修士の理系海外大学院卒なんだ」と認知させることが出来たと思います。あと、ジョイントディグリープログラムでよかったこととして、フランスの銀行のソシエテ・ジェネラルからダイレクトでオファーが来たのはびっくりしました。結論僕はプログラミングが出来ないので落ちちゃったんですけれども(笑)。まとめると、すごくメリットはあるけれども受け身ではだめだと思います。能動的に価値を押し出していけばいろんなチャンスをつかめるのではないかと。

新 開
はい、ありがとうございました。そうしたら、本日はこれで終了となりますが、GIPへの受験を検討している学生さんへのメッセージがあれば、お二人から最後にお言葉をいただければと思います。

内 田
説明会だけではGIPでの生活はよく分からない、想像できない部分も沢山あると思うんですけれど、実際入ってみると学べることは多くありますし、他の人とちょっと違った大学生活を送ってみたいと思う方には良いと思います。

黒 澤
僕も内田先輩と同じで、周りの友達の大学生とは一味違うことをやってみたい、何か違う人生を歩みたいと思ったら是非検討していただければと存じます。

文字起こし:GIP専攻事務室
編集:新開泰弘、内田海凪、黒澤丈朗