メッセージ | Message

ボルドー大学機能ゲノム科学研究センター サイエンティフィック・ディレクター ドミニク・ロラン | DOMINIQUE ROLIN

メッセージ

 こんにちは。お会いできてうれしく思います。私はドミニク・ローリンです。ボルドー大学の植物生物学・生理学の教授で、ボルドー機能ゲノムミクス研究所の所長を務めています。ボルドー大学を代表して、革新的な大学院学位プログラムの先駆者となる、筑波大学にお祝いを申し上げます。

 ボルドー大学は、フランス国立農学研究所(INRA)と同様、筑波大学とは10年にわたる長い協力関係にあります。この関係は研究活動を通じて2005年に始まりました。最初は2人の科学者が同じトマトの遺伝資源(マイクロトムトマトのtillingコレクション)を共有したいと考え、これが第一歩となり、INRAと筑波大学の間で共同研究が始まりました。2年後、筑波大学とボルドー大学は、学部学生を対象とした短期の交流プログラム(10日間)と大学院生向けの2-6ヵ月の研究トレーニング体験講座を開始しました。

 大学院生のための革新的な学位取得プログラムは、日仏双方の学生にとって将来の道を開く、すばらしいプログラムです。
 この新しい教育システムは、これからの人生やキャリア、今後の社会的地位において成功するために必要な、21世紀の重要な知識とスキルをすべての学生に十分身につけさせることができる仕組みとなっています。
 このプログラムは、3つの一流大学を結びつけることにより、学生たちに高度で的確な職業技術を身に付けさせ、それを育成、増進させることに専心した大志のあるプログラムです。
 ためらうことなく、未来に備えましょう。思い切ってこのInternational Joint Degree Master’s Program in Agro-Biomedical Science in Food and Health (GIP-TRIAD)に参加しましょう。

インタビュー

――植物・バイオテクノロジーをボルドー大学で学ぶ理由は?

ボルドー大学

 ボルドー大学は大学教育課程と研究の質が高いことで有名で、フランスではトップクラスの大学にランクされています。
 また、文字どおり門戸を全世界に向けて開いており、 この開放度は国際的な大学との連携が数え切れないほど多いことで証明されています。(全世界の連携大学との間で250を超える協力協定が結ばれています)。
 ボルドー大学は筑波大学はもとより京都大学や九州大学などとも有力なプログラムを共有しています。

 今日では、
5万2000人の学生が以下の4大科学分野で様々なコースを選択しています。
 科学・技術、法律・政治学・経済学・経営学、健康科学、社会学・人文学

 植物生物学・バイオテクノロジー修士課程は科学技術学部に属します。

 私たちの植物学・バイオテクノロジー修士課程は、農業やバイオテクノロジーと関連した世界の社会的課題に取り組むことを目指しています。

  • グローバルな気候変動に農業をどのように適応させるか
  • 70億人から間もなく80億人、90億人に増加する世界の人口にどのように食糧を供給するか
  • 増大する人口にエネルギーをどのように供給するか
  • 持続可能な農業を通じてグリーンケミストリー(環境に優しい化学)にバイオマスをどのように供給するか

 私たちの狙いは、本学の学生たちが植物・菌類バイオテクノロジーを利用することにより総合的なソリューションを通じて上記の課題を解決できるように準備させることです。

 キーワードは、“農業”と“バイオテクノロジー”の2つです。

――修士課程ではどのように学生たちを訓練するのでしょうか?

ドミニク・ロラン

 私たちは学生に研究の訓練をさせたいと考えており、植物生物学研究所はもとより国際的な民間企業とも強力な協力関係を築いてきました。
 学生たちは、研究していく中で有力な植物研究コミュニティーに組み込まれます。
 ボルドー大学グリーンキャンパスには、植物・菌類を研究する3つの研究所(ISVV, IBVM, Qualis)、10の研究ユニット、4つの実験業務ユニットがあり540人のスタッフがいます。その中には学生200人、技術者74人、博士号を取得した院生とポスドク(博士課程修了者)100人が含まれます。

 植物学教員チームは50人を超える科学者で構成されており、それぞれ以下のような分野で研究・教育しています。
 植物生物学、植物発育、植物生理学、細胞生物学、遺伝学、エビジェネティックス、植物と環境の相互作用、植物・菌類バイオテクノロジー、植物代謝、植物化学、植物病理学。他に、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクスなどの統計的オミクスツール。

――修士課程での焦点および目的は何ですか?

ドミニク・ロラン

 植物生物学・バイオテクノロジー修士課程の主な目的は、以下を含む様々な植物分野の科学的、技術的な知識の伝達を促すことです。

  • 植物育種
  • 植物病理学
  • 植物培養・バイオテクノロジー
  • 菌類バイオテクノロジー

 植物生物学・バイオテクノロジー修士課程の目的は、そのノウハウやツール、専門知識を伝え、多くの資源を共有し、多種多様なテーマに関わる相補性を促進することです。

 この目的のために、教員チームは下記を通して多くのツールを開発してきました。

  • 個人的プロジェクト
  • チームワークプロジェクト
  • ブレインストーミング・ミーティング
  • 最新のコミュニケーションツール(Web 、ビッグデータ、DB[データベース]など)をどのように使い、最適化し、コントロールするか
  • バイオテクノロジー分野の業界関係者や専門家との交流
  • 情報をどのように見つけだし、選択するか
  • 複雑な状況に直面したとき、明快なソルーションをどのように提示するか
  • どのように情報を伝えるか(ポスター、簡潔な意見広告)

――修士課程で日本人学生はどのようなコースを取ることができますか?

ドミニク・ロラン

 植物生物学・バイオテクノロジー修士課程の主要な役割は、学生たちに進路指導を行い、国際的な教育課程を開発することです。

 私たちのところでは、英語を教育言語とした国際的なプログラムが、現在BBP修士課程で実施されており、以下のような内容を含みます。

  • 植物遺伝学・エピジェネティクス
  • 植物と環境の制約
  • 植物代謝
  • 植物発達・生殖
  • 植物バイオテクノロジー

 特に重点をおいているのは、コース内容とボルドー大学の研究部門や研究所で行われた高度の研究を結合することです。

 私たちの国際的な植物生物学・バイオテクノロジー修士課程を終えた学生たちには、下記2つの選択肢が与えられます。
   博士号論文を準備し、研究者となる選択肢
   直接民間企業に就職する選択肢

 私たちの修士課程には、民間企業と長年にわたる継続的な関係があります。
 学生たちには民間企業(種子会社、植物抽出企業、農薬会社など)でインターシップを行う機会があり、最終的にはこれらの会社で正社員の職に就くことができます。

 最後に、ウィンストン・チャーチルが口癖にしていたフレーズを借りて、結びとします。
 「教育で最も重要なことは、欲求である。」

 私は、筑波大学の日本人学生の皆さんが知識欲を満たすためにボルドー大学に留学することを願っています。